拝啓 西畑

本人は見ないだろうから、まあ、いいか

アース・レッド ~西畑大吾一万字インタビュー~

 

https://www.birthday-film-color.com/ 

 

※ネタバレ有・完全私見

 

何億分の一の彼

「一万字インタビュー」をどれだけ素直に受け止めれば良いのかということを、ずっと考えていた。

私は外に出るデータはどれも美しく加工されていると思っていて、一万字インタビューにおいてもこれは変わらない。

1人のアイドルの人生、その瞬間ごとの気持ちが詰め込まれたテキスト。20数年の人生を目の前にして、たった一万字。10000という数字の中で語れることは非常に少ない。振り返ることのできる過去、今だから言える気持ち、彼はどれほどの覚悟を持って明かしたのかな。字数制限という現実を前にして、そのうちのどれだけがようやく私達に届くのかな。この一万字には何人のどれだけの本気が詰まっているのだろう。

この一万字に彼の全てが詰まっているとは思わないし、彼が全てを話したとも、全てを明かすつもりがあるとも思わない。語ったこと全てが私達に届くとも、全く思っていない。

この10000はあくまでも、その何億倍のあなたの欠片として。理解なんて一生できるわけのないあなたを少しでも間違えないために、”分かる”ためじゃない、間違ったあなたを分かったフリして語らないために。ちゃんと聞こうと思った。あなたの話。よろしくお願いしますと、背筋が伸びた。

 

 

 

後悔

読んだ。読んだのだけど、なんか、どうすればいいか分からなくてしばらく頭を抱えた。彼の声が沢山聴ける歌を小さな音で垂れ流して、聴いてるんだか聴いてないんだか分からないくらいの集中力でよく分からない所を見つめる。こういう時は「夜這星」がいいな。絶妙に悲しげで切ない雰囲気のおかげで、少し落ち着く感じがした。

この感覚、何回目だろう。彼のことを好きになって色んな情報を自分の中に取り込む度に、飽きずに同じことを繰り返している気がする。

西畑大吾を知ってしまったこととか、好きになってしまったこととか、彼のアイドル人生が終わるまで離れられないであろうこととか、そういうのが全部嫌になる。なんて人を好きになってしまったのだろうかという後悔。

読んでいる時、涙は出なかった。派手に泣ければオタクとして良かったのかなとか思うけど、言ってしまえば衝撃的な事実はなかった。それでも歌声を聴いて、耳でアイドル西畑を感じながら今まで自分の見てきた姿を思い出して書き起こそうとすると来るものがある。

「ただの他人じゃない」と改めて信じる私と、「よくそんな自分で並んだ気になれるな」と彼を崇拝し自分を貶す私がいつも戦っている。後者が正しいことを分かりながら、今日も懲りずに前者になった。

一つひとつに触れていきたいけど、きっと薄っぺらくなってしまうだろうな。彼のことを分かったふりするのだけは嫌なので、心にとまったものだけをぼそぼそと書いていくことにする。

 

 

 

彼という人、彼というアイドル

関西ジャニーズJrの勢いがすごいね。「ありがとうございます。関西Jr、ホンマにすごいですよね。」

冒頭。インタビューの入りから「西畑だな」と思った。自分がいた組織として、そこに後輩がいる立場として当事者のお礼を言った後に、今は関西Jrというグループにいない身としての感想が来る。私が常々思っていた"客観的なマーケティングが出来る人"という一面が覗いている気がする。大袈裟かな。

 

「お客さんに"また来たいな"って思ってもらおうって全力だった日々を忘れちゃいけないって」

こういう思いをはっきり聞くのは意外と珍しい気がした。売上でも個人の人気でもない、それもあったかもしれないけど、「また来たいなと思って欲しい」そういう気持ちでやっていたんだねと、彼のストレートな想いに少しやられた。

 

「"辞めるかもしれない"って唯一、流星にだけ話したら、"いっしょにがんばろう。でも、大ちゃんが辞めるんやったら僕も辞める。"って言ってくれて。その言葉でスイッチが入ったというか。"こんなに未来あるコを辞めさせるわけにはいかへん"って。」

正直、彼の軌跡にりゅちぇがいるという当たり前すぎることに改めて気付いたときに、一万字から受けたものをちゃんと言葉にできるのか物凄く不安になった。西畑大吾大西流星の物語というのはある種の聖域で、私なんかが触れていいものじゃないと直感的に思ったのだと思う。

今でこそ「西畑→→→←りゅちぇ」みたいに言われがちな大西畑だけど、2人の根っこの部分には、比較なんてする必要がないほどの大きな感謝と尊敬と愛があるんだなと思えた。なにわ皇子、なにわ男子と共に過ごしてきて、同じように絆を培った同期やなにわ男子メンバーとはまた違うベクトルの繋がりがあると感じる。いつのどんなことが、2人をこんなにも特別にしたんだろう。りゅちぇはどうして、そんなことを言ったのかな。絶対に分からないからこその尊さがあると思った。

 

松竹座の舞台で倒れたこともあったよね?「そんなこともありましたね。プロとしては失格なんでしょうけど、体力の温存とか配分なんて考えずやってたから。」

どのお客さんにも最高のパフォーマンスを届ける、それがプロの仕事なのであれば、確かにプロ失格だと思う。その公演に入った人は完璧でないイレギュラーを観ることになった。でも、彼はアイドルだ。パフォーマンスと愛嬌だけを届けていればいい仕事じゃない。成長や悔しさ辛さみたいなものも見せて、伴走者のようなファンと共に走る。オーディション番組が人気なように、アイドルにとって物語性は大きな味方だ。倒れた彼を見た西畑担はどう思ったかなぁ。もちろん心配になるし、これ以上舞台に立って欲しくないと私なら思う。もう出てこなくていいよって。*1でも、不謹慎かもしれないけどそれ以上に、彼のことが誇らしくてたまらないんじゃないか。体力の温存や配分は大事だけど、そんな冷静さを超えた一生懸命を体で見せてくれた気がして、私ももっと一生懸命向き合わなければとこちらまで姿勢を整えてしまうような気持ち。自分の体を苦しめてまで頑張れる人って本当に本当に少ないんだよ。私はずっとそれほどに全力になれる人に憧れている、だからあなたに何度焦がれたか分からない。美談にするのも違うのだろうけど、もしその時から私が彼のファンだったら、当時の彼を責めるどころかこっそりと誇りに思っているだろうな。

 

「何事も平均点タイプだと思ってるんで。そんな人間が個人のお仕事を多くいただいてセンターに立てば、周囲にどう映るか、わかりきってる。でも、そういう立ち位置なんやなって覚悟を決めたというか」

彼を平均点タイプと思ったことはないけれど、確かに"彼といえばこれ"とも思ったこともないなと思った。「そんな人間が個人のお仕事を多くいただいてセンターに立てば周囲にどう映るか」って、特別何かが出来る訳でもないやつがってこと?逆に平均点だとしても、大体のことが出来るからこそのセンターなのだとも思えるのだけど、どうなんだろう。一人だけが輝いて、他のメンバーが飾りのようなグループも間違いじゃないのかもしれないけど、彼がセンターである以上良くも悪くもそういうグループにはなれない。自身の努力で掴み取った圧倒的なセンター感、彼が平均点タイプだからこそ見える他のメンバーの見せ所。グループのバランスは真ん中に立つ人にかかっていると思う。そして、真ん中としての彼の在り方は私にとっては大正解だ。

 

「僕の取り柄は、出会う人に恵まれていること」

偉そうなことは言いたくないけれど、自分の質は周りの人に直接映ると思う。付き合う人が自分の鏡、そう考えたら、彼が自分の周りを良い人ばかりだと思うのなら、それだけ彼が素敵な人なのだ。

 

その他、上手く言えないけれど心にとまったものたち。

6人(西畑・大西・永瀬・向井・平野・金内)でのデビューを期待した?「期待してた、うん。」

そうなのか、としか言えない。彼はこの後にいかにこのメンバーが強いと思っていたかを語るのだけど、かける想いはどれくらいだったんだろう。絶対このメンバーでと思っていただろうか。このメンバーなら行けるんじゃねみたいな気持ちだったのだろうか。分からないけど、今のアイドル西畑と6人でデビューしていた世界線のアイドル西畑はきっとかなり違うんだろうなと思うと複雑な気持ちになる。そもそも年齢的な立ち位置が違うから、キャラクターの在り方も変わっていただろうな。もしこの6人の中に西畑大吾を見つけていたら、私は好きになれていたかなぁ。

 

「僕なんか(弱音を)吐きまくりですからね」

少し驚いたと共に安心した。彼はちゃんとそういうことが出来る人なんだ。私と彼があまりにも似ているから、私が弱音なんて吐かないタイプだから、無意識に重ねてしまっていた。話とは関係ないけれど、あまり分かった顔をしてはいけないなぁと思った言葉だ。

 

「ひとりで背負おうと思っていたものを、7人で分け合うことは弱さなんかじゃない。」

一万字を読みながらずっと自分と重ねてしまうのだけど、やっぱり私はまだ子供なんだろうなと思う。今までの学生生活、色んな形のグループに所属する度に、分け合うことを弱さだと思ってきた。し、今でもそう思ってしまう。それでも彼は10数年のジャニーズとしての経験を経てその思考を変えていった。素晴らしいことだけど、それ以上にそんな今の関係性がずっと続きますようにと願う。少しでも楽な気持ちで、楽しく生きてくれますように。

 

 

全て通して読んで思ったのは、彼が自分のためだけに動いた瞬間がなかったなということだ。辞めたいとまで思っていたのに人の未来を奪いたくなくてジャニーズを続けたし、「僕の取り柄は人に恵まれていること」と言った。今の私と同じ歳でセンターを任されてから東京の仕事に向かう時の姿勢はいつだって「関西ジャニーズJrを知って欲しい」。自分だけって気持ちがないのはなんでなの?どうしてそんなに愛に溢れているのだろう。そんな大きなグループに貢献したい気持ちだけでそんなにも努力できるのはどうして?

 

私はなにわ男子結成後の彼しか知らないけど、データとして昔の彼を知っている。何度も聞いた話もある。それでもやっぱり、見ていたわけじゃないから分からない。

きっと私は、関西ジャニーズの彼を、なにわ男子の彼を、センターの彼を好きになった。それ以外のアイドル西畑が嫌なんじゃなくて、彼の肩書に惚れたわけでもない。それでも今がこの今だからこそ、彼が今の彼だからこそ持つことのできた気持ち。私は「今の彼しか持たない引力」だけに惹かれる私だった。

だから今は、全部運命的だったと思える。彼が全ての選択を今ここに繋いできたこと、彼を好きだと思う感性が知らぬ間に私の中で育っていたこと、奇跡みたいな二つが掛け合わされて私は彼を好きになれた。

彼は男の子のアイドルで、ジャニーズだけど、私は私がジャニオタになったことに今でも違和感を覚える。古参じゃないけど三年はファンであってきた。それでも時々「私って今ジャニオタしてるんだよなぁ」とか「男の子に沸いてるんだよなぁ」とか、良い悪い関係なく事実として思う。

ジャニーズだから彼を好きになったんじゃなくて、惹かれた人がジャニーズだったからかもしれない。彼は私に本当の尊いジャニーズを教えてくれた。それでも、彼が私にとってあまりに大きな変化をくれた人だからこそ、神格化して大袈裟に讃えてしまったりもするのだ。

 

 

 

彼の矜持に縋る

いつか誰かが、アイドル不信の人は増えているのでは、という文脈で「生身の人間を信じる心労の大きさったらないと思う」と書いているのを読んだ。本当にそうだと思う。

自分にとって理想の人、憧れの人の熱愛や逮捕なんて、聞けたものじゃない。そんな大層なことでなくても、ふとしたことで理想が打ち砕かれて勝手に落ち込むなんてことはザラだと思う。

恋愛感情じゃないにしても好きであることには変わりないのだし、好きな人なのだから信じるに決まっている。こうであってほしいと無自覚のうちに期待を押し付けちゃったりもしているんだろうけど、相手は裏切るかもしれないし振り回してくるかもしれない。

そういうある種リスクがある状態で三次元のオタクはオタクでいるのだなと妙に納得した。そして、私はそれが怖くてジャニオタになれなかったことを思い出す。今だってそうだ。アイドル本人が裏切らなくても、認知やらファンサやらが話に上がると正直疲れるし、いらないことに感情を使っているなと感じる。

彼だって例外じゃない。彼に絶望したことのある人も、感情を振り回されて辛くなったことがある人も、いないわけはない。

 

今回の一万字で唯一、私の感情が振り回された、印象的だったお話。

じゃあ、今後の個人的な目標ってある?「深夜ラジオをやってみたいですね。今まで、やっぱり強がっていた部分があったなって。メンバーや家族にしか見せられなかった、電源オフ状態の西畑大吾を、そろそろ見せてもええんちゃうかなって。ギャップがすごいですよ(笑)。でも今なら、これまで見せられなかった部分ですら出しちゃっていいかなって思えるんです。映像抜きの深夜ラジオ限定なら」

正直、めちゃくちゃ泣きそうだ。泣きそうなのに泣いちゃダメだと自分が言っていて、それすらも嫌で泣いてしまいたいみたいなぐちゃぐちゃの感情になっている。どんどん遠くなる感覚ってこんな感じなのかな。別にどこかに行ってしまうわけでもないけれど、私の知らない彼になっていく様をリアルタイムで見せられている気分になる。

私はオンオフがはっきりした、アイドル西畑はアイドルとしてだけ存在するという矜持を持つ彼を心から好きであってきた。私服は隠すしグッズTばかり着るしネックレスは教えてくれないし雑誌では同じことばかり言うし、全然西畑大吾のことを教えてくれないけれど、私はそれが本当に好きだった。格好良いなあと、アイドルとしてのプライドみたいなものに惚れ惚れしていた。本人の言う「近すぎず遠すぎず」は彼がずっと徹底してくれていたおかげでもう彼の個性のひとつになっていると思うし、彼もそこに誇りを持っているのだと思っていた。*2

でも今の彼は「見せてもいいかな」なんて言っていて、私にはそれが彼が培ってきたアイドルとしてのプライドとアイドル西畑の個性みたいなものを捨てようとしている風にすら見える。違うって分かっていても、どうしても激重になってしまうなぁ…。

家族にしか、でいいよ、メンバーにしか、でいいのに。私も本当の彼を知らないくせに、知ることのできるチャンスかもしれないのに、それ以上に「みんなに知って欲しくない」がある。私だけが知っていることでもないのにそう思うのはおかしいけど、あなたにはずっとそうであってほしかった。こんな押し付け絶対ダメだ。

全部勝手に勘違いして事実以上に称えすぎた私のせいなのは重々承知で、私は彼の全部を好きでいるととっくに決めたから受け止めよう。でも、「強がっていた部分があった」って、なんだろう。「今なら出しちゃっていいかなと思える」って、なんでかな。やっぱり私は私が思っている以上に彼のことを知らなくて、分かれなくて、そんなの当たり前なのに。いつもそれが嬉しくて悲しい。

前述の表現を借りれば、やっぱり「生身の人間」を推すということはかなりの信頼や期待を寄せてしまうことになる。そうありたくはなかったけど、私もそうだった。彼があまりにも美しく消費の対象を演じ切ってくれるせいで、無意識の内に押し付けていた煩わしい希望。もう自分のことも彼のことも嫌になってしまいそう。

けれど私にとって彼は、「それでも信じたい」人だ。こんな時代でも信じたいと思えるだけの誠意をたたえて歩んできた人だと思うし、そう思われるだけの努力を積み重ねてきた、信頼の人だと思う。信用というのは一朝一夕には生まれない、その人がいかに誠実かを示してくれる誇らしいものだ。彼が見えないものを大切にして、一つひとつ積み上げることのできる人という証明だ。

でも、信じると押し付けを一緒にしてはならないということを彼のラジオの話で実感した。

私は彼がいつ結婚しても、アイドルを辞めても構わない。彼が彼の気持ちに則って決めたことであればなんだっていい。彼のアイドル論も、今の路線も、いつか変わるかもしれない。だからあえて、そこに変わらないでいてとは言わないし言えないと思う。

押し付けやワガママはないわけじゃない、それでも彼の全てを受け止める覚悟はある。”覚悟”なんて彼の生き方を目の前にしてそう簡単に言えることでもないけれど、これだけはずっと変わらずに持ち続けられる覚悟だという直感を、私は彼を好きになってすぐに見つけた。

彼の言うことが本当かなんてわからないし、いつか彼が私達に嘘をつく日が来るのかもしれないけど、それでも彼の口から出たことであれば全部受け止めよう。私にとって、彼の言葉が一番の正解。

 

 

無宗教な私の教祖

盲信とか全肯定とかお花畑とか言われても仕方ないと思うけれど、彼は私にとっての宗教だと思う。怖くてごめん。でも多分みんな、そういう節はあるでしょう?

(甘々というわけではないから自分では全肯定であるつもりはないけれど、彼の言葉を全て受け止めるというのはきっと全肯定なんだろうな。けれど全てを信じるかどうかは分からない、というか別だ。きっと嘘だろうなと思いながら、それでも「西畑がそう言うんだからそういうことにしておくか」となると思う。)

「宗教」と調べると、広辞苑では「神または何らかの超越的絶対者あるいは神聖なものに関する信仰・行事」らしい。神または何らかの超越的絶対者あるいは神聖なもの。西畑じゃん。宗教繋がりで「信者」とも調べてみると、「その人の主義主張などを熱心に信奉する人」と出た。オタクじゃん。

なんだか重いし軽率に宗教宗教言って申し訳ないけど、その対象に傾倒して、追いかけて、熱中して、お金を出して、いつもそのことばかり考えて、そんなの宗教じゃないかと思う。最近は「神」という言葉がすごいとかやばいとかと同等の便利なワードになってしまったけど、オタクにとって推し、自担って本当に「神」そのものなんじゃないだろうか。

私は彼の卓越した表現の仕組みが分からなくて、どうしたらそんな綺麗に表情を変えられるの、そんなにスマートにカメラアピールが出来るのと、いつも感動を越えた不思議な気持ちになる。不思議に思うほど素晴らしい、そんなアイドル今まで見てこなかったし、もちろん自分にもできないからこそ、尊敬や崇拝の気持ちがある。その表現やアイドルとしての生き様は「超越的」で私にとっての「絶対者」。やっぱり彼は、一生私の教祖だ。

 

 

 

アース・レッド

タイトルの”アース・レッド”は、冒頭のリンク(birthday&film color)より引用した彼の誕生色だ。アース・レッド。彼の寛容さや視野の広さ、余裕を思わせる壮大な語感。なにより、奇しくもメンバーカラーと重なった所に運命性を感じてしまう。

それぞれのカラーに付いたキャッチコピー、1月9日は「固い意思で目標を見据える、生真面目な実務肌」。あまりにも彼で、初めて見た時は興奮した。彼を表すに充分すぎるほどだ。

彼は大人から赤を背負わされた人。数十人の中で真ん中で居続けてきた人。そして今も、これからも、”圧倒的センター”と言われる彼。赤という色の持つ意味があまりにも大きすぎて、本人じゃないのに何度も苦しくなった。

「どうして僕が真ん中なんですかねぇ?」と先輩に聞いた彼は、今「真ん中」についてどう思ってるかな。誰がセンターでも輝くグループに、そう思ってることは知っているけど、あなたが立つ真ん中はどんな真ん中なの?どんな景色なの?彼は数年前の自分を見て、至らなさとか実力不足みたいなものを感じるのかな。嫌になるくらい恥ずかしくなったりするだろうか。それとも、全てに自信を持ってやってきた?「アイドル西畑」に、そしてそれを作り上げてきた「西畑大吾さん」に聞いてみたいことがたくさんある。

 

もしかしたら、彼は意外と自身のことを教えてくれていたのかも知れない。それか、一万字でさえも隠すスタンスは変わらないのか。きっと前者だろうなと思いつつ、こうやって彼に秘密主義アイドルでいてほしい私がいる。彼がどんな気持ちでいるのかすら分からない。

苦労したエピソードを読んで、感動的な歌を聴いて、泣くことは簡単だ。分かったように語ることも。それでも大切なのは、そういう材料に頼らずに素面で彼を見つめた時に、どう思ってどう言葉に出来るかだと思う。それでも私は弱いから、夜まであたためてベッドの中で読み返した。夜に酔ってようやく、素直に彼を思える気がしたからだ。

一度読んだだけじゃ何も分からなくて、何度も何度も読んで言葉の奥を触ろうとする。私は彼と何の経験も共有していない*3から、彼の言葉がいつもよく分からない。それでも分かりたいから、きっとメンバーなら1回で分かる話を、気持ちを、何回も教えてもらって分かろうとする。

瞳に中身を持つ人、意味を持つ人、そしてそれが他人に気付かれる程の密度を持って輝いている人は稀有だと思う。その輝きは全て、あなたが心血注いで積み上げてきた成果の表層。その下にはもっともっと奥深く、全ての過去が今を支えている。あなたの全てに意味があった。無駄じゃなかった。過去が覗くその目が綺麗だったから、私は初めて男の子のアイドルに惹かれたんだもの。こんなこと私のような他人に言われなくても分かってるって知ってるよ。それでも、伝えたくなるほどの尊さがあなたにはある。

 

 

 

 

話してくれて、本当にありがとうございました。西畑大吾の何億分の一だとしても、この10000は宝物になった。何度も読んだ。読んだけど、まだ彼のことはなんにも分からない。これからも分からないことだらけ。でも、それでいいと思えた一万字。

あなたがずっと格好良いアイドルだから、私もずっと格好良いファンでいたいよ。

 

 

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*1:それでも彼はまた途中から出たようだけど。

*2:たしかに彼の中に誇りはあると思う。私がただ、その誇りを神格化しすぎてしまった。

*3:アイドルとファンとして同じ時間を生きることは、時間の共有にはなれど経験の共有にはならないと思う。私がなにわ男子のメンバーで、彼とずっと一緒に活動して色んな話をしてきた仲でない限り、経験の共有なんて一生できない。